学校法人北里研究所グループ、北里学園北里大学の不正 

2009/05/22

 学校法人北里研究所という、北里大学を含む医療研究グループの知名度は高い。北里柴三郎氏が創設した一大研究機関である。社団法人北里研究所学校法人北里学園が、平成18年に一度統合を発表、頓挫し、昨年四月に統合し「学校法人北里研究所」という名前になった。

 先日は、1962年に創立された北里大学の第一期生でもあった衛生学部卒業の柴忠義理事長・兼・学長が学長選挙で再選を果たしたそうだ。柴理事長は北里大学卒業後、慶応医学部の助手や民間の研究所を経て、86年に北里大学の衛生学部教授に就任。以後、理学部長や理事などを歴任し、2003年に学長選挙に初当選。以後、理事長・学長を続けている。北里大の場合、学長就任と同時に理事長を兼任するのがほぼ歴代の慣習らしい。

 この柴忠義理事長(学長)と人事担当常任理事・小林裕志氏理事事務本部長・間瀬行雄氏の3人に対する不正疑惑情報が本紙に寄せられた。

 疑惑は健康保険の不正請求に関することと、学校法人の経費の私的利用、着服といったものについてのことである。

 そもそも北里研究所はこの数年間、ちょっとしたゴシップが溢れた疑惑の学園状態になっている。本紙へ告発してくださった方は、北里研究所グループのそんな状態を憂いて、本紙に北里研究所に蔓延る不正と権力闘争を糾弾して浄化してくれと情報提供してくれたものである。

 北里研究所が社団法人と学校法人を統合させた際、統合前の両法人間には給与格差があった。統合で給与水準は低いほうに合わせざるをえなくなった。そうすると、給与の高かった側が損をする。そこで法人統合前に、密かに、常任理事会が開かれ、理事長ほか参加者だけが得(給料アップ)をする給与改変が行われ、それが、学内関係者によって「北里学園本体や教職員、学生らに対する背任である」として法的に攻められようとしている。学内有志が柴理事長らの法的な責任を問うべく、「背任容疑」で東京地検に刑事告発する準備を進めているそうなのである。

 平成18年7月13日に開かれた「常任理事会」で、北里学園役員等報酬に関する基準の改正(案)の件≠ニして、理事長ほか理事ら経営幹部の手当や給料を上げる、という決議がなされた。要は参加した常任理事らが自分達の給与や手当てだけアップ(理事長手当、学長手当、常任理事手当、それに常任理事の基本給がそれぞれ増額→柴学長の場合、理事長手当分が25%、学長手当分が33%のアップ=柴学長や常任理事ら合計で推定3600万円)する提案をし、自分達で「承認」したという、総会ゴッコみたいなことをやったわけだ。

 北里大学の場合、常任理事会には、決定権はない。常任理事会は理事会に付議する事項を審議するだけの機関なのだそう。

 決定権を持つのは、一般の理事も加えた二十数名で構成される「理事会」。要するに、正式な決議機関である理事会の審議、承認を受けないまま、自分達の給料アップを勝手に決まったことにし実行しているのだ。

「理事会にも報告ずみだ」といいながら正式な決定じゃないまま金だけもらい続けていたということで、背任容疑での告発となったのだという。実際、最近まで3年近く、この「常任理事会」参加者以外だれもこの事実を知らなかったというのだから、コソコソは委任行為をしていたと言われても文句は言えないだろう。

 法的にも、柴理事長は「報告した」といっても、理事会での正式な議決とは言い難く、審議して議決するという義務に違反しており、慣例であっても法律違反は間違いなく、自己の利益を図るために任務に違反した行為で、学校に損害を与えた、ということで背任罪に問われる可能性がある違法行為である。

 柴理事長は実直な人柄だそうで、なにゆえこのような背任罪ガケっぷち状態に追い込まれるような、危うい行為までしたのかは定かではない。

 しかし北里研究所を取り巻くここ数年の不正疑惑は、冒頭で述べた健康保険の不正請求に関することと、学校法人の経費の私的利用、着服以外にも、数多く囁かれている。本紙としては今後、これらの北里不正情報を検証しながら公開し、情報提供者の願うとおり、北里研究所グループを健全な方向へ導く一助となれればと考えている。

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