2010/04/01
私が三十年来お世話になっている方が、たまたま剣道の達人と一緒になった。その御祝いに御宅へ出掛けた帰りに「剣道時代」の5月号という雑誌を頂いた。実はその記事の中に「八段合格の秘密9」(後編)という記事があって、その中にその達人の記事が載っていたのだ。
八段になるというのは、剣道家の遠い夢(目標)の一つなんだなぁー、と剣道に縁のない私は何気なく読んでいたのだが、その記事の中に横尾英治氏を見つけた。横尾氏は私の一つ先輩で、当時から大活躍している人だった。剣道を知らない私でも桜木さん、馬場はるみさんとかの名前と一緒に横尾氏の名は知っていた。
私の同期で同じクラスだった氏家君(現男子監督)も確か特待Aだったと思う。そんなことを思い出しながら、八段に合格した十一名の人達の経験と人生訓を読んでいたら、その中に国士舘卒業が三名もいたのでビックリ。しかも坂田秀晴氏や国士舘職員の浅野誠一郎氏は48歳、49歳という若さである。
もっと読み進んでいたら小川忠太郎という剣豪の話も載っていて、この方も国士舘で剣道を習い、警視庁剣道指導室主席師範となる、と書いてあった。表紙を飾っていたのも右田重昭氏で国士舘大学女子部監督とあるではないか。
いやいや驚きと感動で、改めて国士舘の剣道の凄さに恐れ入った。
考えてみれば、私が在学中(今から四十年も前だが)、柔道部が200名位居て、剣道部は600名位居た。とにかく柔剣道部が中心の学校だった。その後柔道は国際的な道を歩むが、剣道は日本の武道の道を歩んでいる。それもひたすら堅実に地道に真面目に。
剣道は昔から空手のように派手さや見栄はない。しかし、いつも隣で見てきた私から言うと、どこか気品さがあった。防具類が高かったからそう見えたのか、構える姿勢が背筋が伸びてかっこいいのか分らないが、確かにそう思えた。
それと今、確実に言えるのが、武道、スポーツ全体に言えることだが、体力のピークがそのスポーツの頂点という考え方で、その後は引退もしくは指導者で、そのスポーツを続けられないシステムになっているが、剣道の場合、体力が全盛時代を過ぎても技や気や心で補うことが可能であるし、上位者(年配者)になっても続けられる武道であって、その中でも唯一、静を生かせる武道であると思う。
剣道の組織構成はよく知らないが、元々、日本武道の原点は剣術である。武士は刀を持って戦う。しかもその戦いには命を賭けているのである。その武士の姿や所作、作法を最も如実に体現的に継承しているのが剣道である。
従って剣道には日本人の原点が詰っている。もう一度剣道の素晴しさを再認識、見直すべきではなかろうか。国士舘剣道部も学生の不幸な事件で謹慎状態にあるらしいが、しかし守るべきものはしっかり守りながら、地道な活動が続いていることは嬉しい。
そこで国士舘大学執行部の皆さんにお願いだが、昔みたいに剣道部に力を入れ、日本伝統武道の復活と継承、指導者の育成に力を入れ、日本国への貢献を再認識する。是非ともお願いしたい。
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