東洋大学と京北学園

2009/08/09

東洋大学と京北学園(京北高校)との不正取引」のような内部告発文書(の最初のページ)

 半落ちを書かれた横山秀夫氏の短編推理小説集「真相」の中の、「花輪の海」という作品がある。これは架空のS大学という大学の不良空手部に入部し、地獄の特訓的いじめ夏季強制合宿で、深夜の暗闇の砂浜、海の中でシコ突き千本を強制された新入部員のうちの一人(サトル)が真っ暗な海の中で死亡し、その10数年後におこる物語。

 大学生当時は事故死として空手部休部という処分だけで済んだのだが、十数年たって社会人になってから、元新入部員全員で集まろうとなった日に、実は合宿当時その過酷さから逃れようとサトルを海の中に沈めて殺害してしまっていた元部員の男性が、真実の自白を遺書に残して自殺した、という話。内容はまったく違うし関係も一切ないが、大学の空手部の新入生の水際の死ということで思い出したものである。

 さて、東洋大学と京北学園シリーズの話であるが、今回、上記写真のような怪文書をマスコミ各社に一斉にばらまいた――その意図は、「京北学園理事長校長らが私学助成金を含めた京北学園の資産を勝手に為替投資に使ってしまい大損失を出した、これは背任横領だ」という主張の広報のためであるようだ。

 私学助成金や京北学園OBからの寄付金、生徒家庭からの授業料を含めた支払い代金の蓄積など諸々を入れた「京北学園の総資産(総資金)」は35億円ほどあったそうだ。これは昭和62年の話。当時の理事会の総意で、この中から15億円ほどを「公社債運用」に回したそうだ。運用者は最初は野村証券自由が丘支店だったそう。

 途中で川合正氏が校長になったり色々あったが、昭和62年から平成17年になり、運用益は「−2億5,000万円の損」となってしまった。

 そこで川合氏、安部事務局長、そして山田皓造理事長ほか理事数名で、「損失を取り戻すためにもっとハイリスクハイリターンの投資商品に投資しよう!」という、一発逆転を狙って競馬から競艇・競輪に堕ちていく多重債務者のようなクレイジーな発想による理事会決議を非公式で行い、正式な理事会を得ずに稟議書や認印を自作して理事会決定事項としてしまったそうだ。

 この理事会決議により、京北学園の資金は考えようによっては「安定金融商品」ともいえた公社債運用から、ハイリスクの米ドル、豪ドル、カナダドル、ユーロの外貨建て投資に回したそう。ここまでは間抜けが損失を埋めるため更に損失となる選択をするごく普通のパターンだが、ちょっと疑問が拭い切れない点もある。

 山田皓造理事長は、「これら京北学園の資金を投資に回すことは当初から反対で理事会決定にも苦渋の参加をし泣く泣く理事調印を押した」と主張しているのに対し、既成事実として、野村証券の取引窓口をそもそもの自由が丘支店から、山田皓造理事長の自宅に近い上野支店に窓口換えをし、まあ上野は京北学園のある白山からも近いといえば近いが、その上野支店に山田理事長がひんぱんに出入りしていたという件。

 山田理事長は「投資話は大嫌いで学校に野村證券の人間が営業にくると追い払っていた」とのように言うが、実際は真逆だったんじゃないか?と言われていること。
(断っておくが私学助成金を投資に回すことは悪い事じゃなく、どこの大学だって私立高校だって投資による資金運用をしている。こういう私学や宗教法人などの大口の投資家がいてくれるから、ネット証券の顧客開拓戦争などで小銭持ちの投資家が集まらなくても野村證券や新光証券などの大手証券会社がテレビCMをばんばん打てるわけだ。私学助成金を投資に回すのはOK!)

 これらのダメ投資によって7億円以上の損失が出てしまって、今、京北学園では理事らは真っ青な顔色で震えている。教職員らは横領だ背任行為だと山田理事長らの責任追及すべく、こうして怪文書的な抗議行動で事実をマスコミを通じて世間に知って貰おうとしているわけである。

 外貨建て投資では7億円の損失だそうだが、他にも東洋大学伊豆稲取寮の払い下げ物件を使いもせずに抱えていることで年間700万円の損失が続いていること――嘱託の職員給与を高額化したこと――幹部手当てを上げたこと・・・・・・などなど教職員らの間につのる京北学園理事らの不正不透明な経営判断による損失はキリがないそうだ。全部で京北学園の被った損害額は12億円位らしい。

 まあ、山田皓造理事長にしても京北学園の金を、投資の損失ではなく私服を肥やすために隠匿することは、誰もが見張る中では不可能なはずだから、これは純粋に投資による損失で、京北学園に対する背任横領とすることは難しいんじゃないかと思う。

 しかし、京北学園理事会の決定事項の「京北学園常務理事は定年後の給料=年900万円保証」「京北学園嘱託事務局長は定年後の給料=年600万円保証」「京北学園幼稚園長は定年後の給料=年500万円保証」「理事長は月3回の勤務で年300万円保証」といったものを、巨額の退職金以外に貰える契約であるというのはどうか?

 これ、教職員というより生徒の保護者の方々やOBの方々が「ふざけるな、そんな無駄金使うなら校舎を自主的に耐震補強しろ!」と怒るべき案件だと思う。

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