2012/03/08
口ばかりの稚拙な政治主導のなか、何一つとして成果のない民主党政権。唯一、期待が持てた事業仕分けも一過性のショーに終わった。その半面、押え付ける筈だった官僚に何時の間にやら主導権を奪われ、今ではスッカリ言いなりとなった。
特に、財務省が強く推進する消費税率の引き上げとTPP参加には、官僚に感化された野田首相が不退転の決意とやらで闇雲に突き進んでいる。消費税は当然としても、関税を所管する財務省が省益を失ってでもTPP参加を主張することに違和感があるが、所詮はアメリカ様の意向には背けないといったところか。
さて、以前に報じた通りTPP参加が国益に適うものであるとのプロパガンダが本格化してきた。利用されたのは関税の中でも取り分けて悪評の高い、輸入豚肉に課せられる『差額関税制度』である。
「関税によって安価な輸入豚肉が手に入らないばかりか、制度を悪用した脱税が横行している。TPPに参加し関税が撤廃されれば、消費者は得をして脱税もなくなる」と、先ずは国民に周知する。その手段として関税に絡んだ脱税の摘発を続け様に行なっているのだ。
先月、日米両政府がTPP交渉参加の事前協議に入った翌日、示し合わせたかのように都内の豚肉輸入業者による約14億円の所得隠しが、東京国税局から明らかにされた。そのひと月後となる3月7日、東京地検特捜部が所得税法違反の疑いで豚肉輸入業者ら2人を逮捕した。逮捕された2人は、共謀して得た24億円の所得を隠し、それぞれが所得税約4億7千万円を免れた疑いだそうだ。
容疑が法人税法違反ではなく、個人にかかる所得税法違反であることから、経営していた会社は実態に乏しいペーパー会社かダミーであって、ブローカー的に裏ポーク業界に巣食っていたことが想像つく。両者には当然ながら関税法違反容疑での立件も加えられるであろう。加えて、莫大な追徴課税に応じる余力がなければ、バンザイする他ない。
豚肉で財を成した2人ではあるが、残る余生の大半をブタ箱暮らしとなることは避けられない状況にあるといえる。さて、ニチロ(現マルハニチロホールディングス)の架空豚肉詐欺事件から端を発した事件は、ローソン子会社の資金流出事件へと続いたのだが、実は今回逮捕された2人の容疑者もまた、両事件に深く関与していたことを、当紙は以前から把握していた。
見事に繋がった三つの事件の真相を知る者として、今後も複雑に絡み合った事件の全容を暴いていく。
敬天新聞社
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吉永 健一