2011/03/01
宗教法人「庚申会龍神総宮社」の創始者である辻本源次郎祭主は、平成6年に亡くなっている。しかし、亡き後も祭主の地位はそのままで、庚申会の事実上のトップである辻本公俊(祭主の長男)は、現在も祭主代行を名乗っているのだ。
超能力者として数々の奇跡を起こしたとされる亡き祭主の跡を継いだ辻本公俊祭主代行は、未だ偉大な父親を越えられないのが現状のようだ。信者の多くが亡き祭主を盲信するなか、霊的能力や超能力といった、信者を惹きつける術を持たない辻本公俊祭主代行は、胡散臭い特殊能力を誇示しないだけ、ある意味、正直者と言えなくもないが、それでは奇跡を望む信者を庚申会龍神総宮社に引き止めることは出来ない。
庚申会龍神総宮社を維持・発展させていくには、神格化された父親とは違った路線で、信者離れを防ぐことが重要と捉えていた模様だ。その辻本公俊祭主代行は平成18年に、ある書籍を出版する。本のタイトルは『2012人類の終焉〜太陽からの啓示』(潟uックマン社・定価1,575円)である。
霊能力者や預言者といった、所謂「電波系の輩」は、巨大隕石落下やら火山噴火、大地震に大津波による人類滅亡といった、この手の世紀末を説いては不安を煽り、一時の耳目を集めることがある。特に、宗教団体であれば、信じるものは救われると説くことで、信者等を篭絡する術として多用されるケースが往々にしてある。
忌まわしい記憶であるが、地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教も、まさに世紀末を説いた先の、宗教犯罪だった。辻本公俊代行祭主も、随分と安易な道を選択したものだ。しかし、その電波をしっかりと受け止めて心酔した人物がいる。それが、日本相撲協会現理事の貴乃花親方である。貴乃花親方は同書籍の推薦者として、コメントと共に帯に顔写真を掲載する程で、人類の終焉を記した内容に共感したと思われる。
又、同書籍発行の翌年からは、大相撲大阪場所(三月場所)の宿舎・稽古場を、宇治市内にある庚申会龍神総宮社の境内に設置するなど、その関係は物心両面ともに深まっていった。さて、多くの信者を抱える宗教組織を率い、天下の横綱さえもシンパとした上に、人類全体の未来さえも啓示するに至った辻本公俊祭主代行だが、その救世主的な大物にしては、何とも情けない事件に巻き込まれることになる。
人類の終焉を啓示した書籍を発行した翌年、平成19年7月に自宅の寝室から1,600万円相当の宝石等が盗まれたのだ。
敬天新聞社
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吉永 健一
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