参考として、本紙が商品先物業界などに送っている「敬天千里眼」より(2008/03/08)
全国保証の業務は、その名の通り各種ローン等の保証業務である。債務者が支払えなくなった場合、その肩代わりをする見返りに多額の保証金を先取りするのが同社のシノギである。無論、肩代わりの件数が増えれば増えるほど、経営が圧迫するのは必然だ。鈴木亜久里(エー・カンパニー)と野村エステート・ファイナンスの金銭貸借契約(15億円)が支払い不能となった時点で、本件を保証していた全国保証が弁済するのが当然であったのだ。しかし、結果は保証契約を反故にし、15億円丸ごと子飼いの「ばんせい証券」に押付けたのである。所謂「不良債権飛ばし」を堂々とやってのけ、全国保証グループの末端企業ばんせい証券に、不良債権を隠し持たせたのである。
さて、多額の保証金をブン捕っていながら、いざ、保証する段階で知らん振りを決め込む全国保証に、果たして信用第一とする保証会社を名乗る資格が有るのか?甚だ疑問である。そもそも、本件は担保価値の無い未上場株式(スーパーアグリF1チーム)に質権設定をした上に、関連会社(野村エステート)を介した迂回融資といった非常識な契約であった。それが焦げ付いた挙句に弁済ともなれば内外に説明しようもなく、経営トップの責任追及に発展する事態であったのは容易に想像できる。
尤も、15億円の不良債権を抱えられない”お家事情”が全国保証にはある様だ。社会保険庁の肝いりで設立した同社は、今でも表向きは業界最大手・優良保証会社として、金融機関の信頼を得ているかに見える。しかし、その内情は「債務超過状態」に陥っているとの指摘もある。最近では、取引先金融機関の強い要請に渋々ながら応じ、経営実態を表す「格付」を一般非開示で所得したようだが、その結果は「BB−」(ダブルビーマイナス)といった、保証能力に疑問を呈する散々たるものだったらしい。
新規保証だけでも年間1兆円を越える同社の台所事情は正に火の車といえるが、保証金欲しさに過度の契約を結び、その実、保証する気はサラサラ無いことが本件で明らかとなった今、さほど驚く格付判断でもない。しかし、悲惨なのは取引先金融機関の面々である。この先、共倒れするケースが大量発生することが危惧されるが、それを回避する為にも全国保証への保証委託を早々に見直すことが先決である。
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