みずほ銀行の裏金融「特対案件B」

(敬天新聞1月号)

みずほ特対案件という裏金融

 みずほ銀行の不正事件は、当紙でも「みずほ銀行不正資金オールスターズ―及川幹雄・本間美邦〜大津洋三郎まで」など数多く取り上げている。今回の話は、みずほ銀行で不正融資が公然と行われている、その根源ともいえる「第一勧業銀行・富士銀行合併以前からの、みずほフィナンシャルグループにある取り引き慣習」を世間に知って貰うよい題材といえる。
みずほ銀行には『特対案件』という裏融資のならわしがある
 これを証拠とともに説明され、筆者もみずほ銀行に不正融資ネタが溢れている原因を理解した。
 特対案件―旧第一勧銀では「マル特」、旧富士銀では「特対」と呼ばれたこの裏融資には、ワリとまともなAコースと、決算書を粉飾し審査を通す不正融資、「特対案件Bコース」という2つがある。
 金融庁は国内の金融機関に貸出ノルマを与える。特対案件Bという不正融資をみずほが行うのは、金融庁の貸出ノルマ達成の為である。言い換えれば一支店、一行員の出来心ではない。みずほグループ全体が銀行業永続のため宿命として行っている「ならわし」だ。

みずほ銀行特対Bマニュアル化

 上記画像の「陳述書」は、この特待案件をみずほ銀行築地支店で行い続け逮捕され、マスコミでも悪人として報道された行員「武田広人」氏の裁判書類。彼は、築地支店でもトップ営業、全国のみずほ銀行中でも栄誉ある賞を何度も貰うエリートだった。彼はトップを続ける為、みずほ銀行の特対案件Bを繰り返し行い、「特対Bに必須」の粉飾決算を先導したとして詐欺で逮捕された。
 彼の裁判記録には生々しい裏融資マニュアルが書いてある。
「融資した資金を自行預金に滞留させておくと金融庁から『優先的地位の濫用を行って不要な資金を貸し付けた』と指摘される為、融資後は速やかに他行の口座に振込をして貰う」(裏融資は『お願い融資』ともいい、銀行から依頼するものだが)「存在を世間に隠してくれる信用ある口が堅い相手」、「この粉飾決算は取引先からの申し出であり銀行からお願いしたものではないと茶番劇を演じてくれる先」を融資先に選ぶことなど。
…特対Bは裏マニュアル化している。

特対Bに加担しない行員もいる

 武田氏は、供述の最後に「決算書偽造を(融資先に)指示し、嘘の内容の稟議書を作成」した犯罪性は、素直に認めている。但し、みずほ銀行本体が特対Bを全国的に奨励しているのに、今回、自分だけが「銀行や支店長を騙した」とされていることだけが納得できない、と言っている。
 彼の証言の信憑性が高いのは、みずほ銀行のうち在籍した代々木支店、和歌山支店、築地支店で行った数十億の不正融資を金額と融資先の社名を挙げ、具体的に述べているところ。
 そして、「みずほ銀行が特対Bを奨励していても日本橋中央支店の原口支店長はそれを嫌い一切不正を行わなかった。築地支店でも、前任の内田支店長は一件しか不正を行わなかった」と、不正を行わない支店長もいるということを冷静に申述している。
 これが、憎悪が先に立って「みずほ銀行では行員全員が裏金融の不正融資に加担している」等と言う事なら信用はできない。しかし、武田氏は和歌山支店で行った不正融資の限りなくリアリティのある取引先とのやり取りを淡々と述べている。そして、築地支店で自分が再び「特対B」に手を染めたのは、前任の内田支店長がノルマ達成できずに左遷され、後任にやってきた新支店長の代になったからであると述べている。このイケイケ新支店長は、武田氏が逮捕されてから、責任とらされ飛ばされた。

中小企業円滑化法と特対B倒産

 武田氏曰く、みずほ銀行の特対B案件は、二〇〇八年に増大したとのこと。
 世界金融危機が起こり、不景気による中小企業の連鎖倒産を防止する為、当時内閣府特命金融担当大臣だった亀井静香が作った時限立法「中小企業金融円滑化法」が来年三月で切れる。
 今、マチ金業者や競売関係の不動産業者は、資金をプールし、来年三月以降必ず訪れる「中小企業の大連鎖倒産」ラッシュに備えている。今貸し出すより、今、競落するより優良な担保や物件が、恐らく今の半値以下で手に入れることができるからだ。
 自民党政府はこの法期限終了後の為の対策に迫られている。
 特対Bのネックは、決算書の偽造と、融資先企業の優良度ランクの改ざん。勿論、多く貸すため評価を上げるのだ。そして、この粉飾の対象は多くは中小企業。
「お願い融資」として、決算書の偽造などを先導しておいて、これからの中小企業大倒産時に、偽造をしらばっくれて取引先を潰し恨まれる案件が増加すれば…。
 特対Bおよび特対Aを併せれば、この裏融資を受けて倒産にいたる企業の数も膨大だろう。みずほ銀行も、メガバンクとしての驕りがいつまで続くものか注目すべきところである(続く)。

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