ナチュラリープラスが東アジア進出九州に水素水「イズミオ」生産拠点

(敬天新聞1月号)

山岡賢次が総選挙で落選の憂目

 先だっての衆議院総選挙は自民党の大勝に終った。民主党の自滅によるタナボタ的な政権奪取とも言えなくはないが、有権者から付託された三分の二以上の議席に見合った政権運営を、是非とも期待したいところである。
 さて、大敗した民主党では現役閣僚を含む多くの現職議員が敗れた。野田内閣にて国家公安委員会委員長兼内閣府特命担当大臣であった、山岡賢次(栃木四区)も、その内の一人だ。
 ただし、山岡賢次は総選挙前の七月には小沢一郎に追随し民主党を離党し「国民の生活が第一」の代表代行を務め、公示直前に「日本未来の党」から出馬したので、元民主党といった括りである。泥舟からいち早く逃げ出した先が、枯れた笹舟だったということだ。尤も、山岡賢次の政治家生命は、とうの昔に尽きていたといえる。
 野田内閣のもと閣僚入りした直後から、マルチ企業(連鎖販売取引業)からの献金問題が国会で取り沙汰され、程なくして問責決議をつき付けられていた。
 当時、マルチ企業「ナチュラリープラス」(名越隆昭代表=港区六本木)のセミナーにて「皆さんが革命家になって日本をつくり直して欲しい。
 国もお手伝いしたい」「ネットワークビジネスは究極のフレックスビジネスだ」等々、同社を持ち上げた上に政治的支援までも口にした録画記録が、予算委員会で中継された。
 その後、動画サイトに配信・拡散するに至り、マルチ企業に取り込まれた政治家として非難の的となったが、この時点で山岡賢次は終っていたといえる。
 落選後の山岡賢次は「落選は事実だが、有権者の意思ではない。今後の政治の有り様に危惧すら抱いている」と、意味不明な強がりの弁を述べていたが、たとえ第三極に風が吹こうとも山岡賢次の落選は選挙以前から決定的であったことに変わりはない。
 山岡賢次のような下衆な政治家を取り込んだが為に、わりを食った形のナチュラリープラスであるが、所詮は同じ穴の狢だったともいえる。

ナチュラリープラスの犯罪行為

 山岡賢次が糾弾された国会での予算委員会では、ナチュラリープラスは良いマルチか、悪いマルチかといった質問が浴びせられていた。
 マルチは合法な商法であり、ねずみ講とは違うというのがマルチ業者の常套句である。勿論、マルチ商法が違法でない事は確かだ。
 ただし、ナチュラリープラスが良いマルチか悪いマルチかは別として、企業としての質を問うのであれば、間違いなく問題アリのブラック企業であることは確かだ。
 ナチュラリープラスは、創業十余年の若い企業であるが、既に何度も事件を起し世間を賑わしている。余程、上位勧誘者が優秀だったのか、創業から数年余りで約三百三十億円の売上高を積み上げた。
 マルチ業界でも異例の急成長であったが、同時期に最初の躓きが露呈する。和田克也社長(当時)と同社幹部二名が法人税法違反(脱税)の罪で在宅起訴されたのである。起訴された直近の和田克也の個人所得が、五億円以上あったともいわれており、マルチ組成者の金満振りを、まざまざと世間に晒した格好だ。
 しかし、事は脱税だけでは終らなかった。この法人税法違反の公判中の最中、あろうことか覚せい剤取締法違反の容疑で、和田克也は警視庁に逮捕されたのである。
 栄養機能増進や健康を売りにした食品や飲料水を売り捌き、マルチで吸い上げた不労収益で、最も人体に健康被害を齎す覚せい剤を購入していたというのだから、呆れるほかない。

合法か非合法かの議論は無駄だ

 そもそも、社長を含めた幹部三名が脱税で起訴された段階で、組織的且つ悪質な脱税であったことは明々白々であって、その時点で会社を自主解散してもおかしくなかった。
 加えて、間をおかずして覚せい剤所持で社長(逮捕時は社長を退任)が逮捕されたのであれば、真っ当な神経ならば恥ずかしくて事業継続など出来ないのが普通である。
 しかし、そこは海千山千の輩が屯するマルチ企業である。事件など何もなかったかの如く、平然と会社を存続させたのである。
 当然というべきか、ナチュラリープラスの企業体質は、その後も全く以って改善されることはなかった。
 事件から僅か数年後、またしても十数億円の所得についての申告漏れを、東京国税局から指摘されていたことが露呈した。
 海外の租税回避地を使った巧妙な税務処理であったが、以前の経験がものをいってか、国税の怒りを買う前に早い段階にて自主的に修正申告をおこなうことで、重加算税による追徴課税と告発を回避したようだ。
 短期間に、巨額脱税を繰り返すことからして、ナチュラリープラスが胡散臭いブラック企業といって差し障りはなく、良いマルチ悪いマルチ、合法か非合法かなどを論じる以前の問題であることは明らかだ。
 斯様に、面の皮だけは厚いナチュラリープラスであるが、如何せん悪評を垂れ流し過ぎたのも事実だ。
 口八丁の上位勧誘者が会員の下枝を広げようにも、子ねずみ予備軍の食い付きは悪い。
 加えて、最も銭が残せた脱税も国税に目を付けられては容易には出来ない。そこで打ち出した戦略が、海外進出だったのである。

シェフコの得意先はマルチ企業

 既に、和田克也の社長時代から海外での事業展開の布石は打たれていた。手始めの拠点は台湾に設け、その後は香港、シンガポール、マレーシア、韓国、インドネシアと、矢継ぎ早に海外に展開していった。
 海外販路に乗せている商材は、主力製品の一つでもある「イズミオ」なる水素水(製品種類の区分では単なる清涼飲料水)の模様だ。
 因みに国内の会員価格は、一ケース(チアーパック三十個=計六リットル)で一万一千五百円だそうだ。
 ガソリンの市場価格と比べれば、十倍以上にもなる高級水となる。ところで、このイズミオなる水素水は、ナチュラリープラスが自社製造している訳ではない。
 製造を受託しているのは、都内に本社がある食品製造業「シェフコ」(菅俣邦彦社長=板橋区西台)であり、同社栃木工場で生産されている。
 ナチュラリープラスでは、しばしばシェフコの栃木工場に会員及び入会予定者を連れて行くことを、勧誘手段の一つに取り入れてもいる。
 シェフコ側からしても、お得意様の要望に応え会員が増えれば、更なる受注を得られる事もあってか、積極的に受け入れている模様だ。
 そのシェフコだが、平成二十四年十二月に新工場を熊本県玉名市に新設した。同工場では水素水など飲料水の製造を主とするらしい。
 また、同工場から生まれた水素水の行き先は、九州からのアクセスが整備されている台湾や韓国だという。

熊本県玉名市は経済活性を優先

 つまりは、シェフコの九州工場はナチュラリープラスの本格的な海外進出の拠点であり、水素水イズミオの生産を専門とする工場ではないかと、勝手に推測するものである。このシェフコ九州工場の新設には、玉名市と熊本県は両手をあげて歓迎している。菅俣邦彦シェフコ社長を熊本県庁に招き、工場新設に伴う進出協定調印式が地元マスコミの前で執り行われる程であった。シェフコが企業として利益を追求する事に異論はない。
 また、自治体が税収や新規雇用をあてにした企業誘致の方針も同様だ。しかし、覚せい剤や脱税といった事件・不祥事を重ねたナチュラリープラスと、批判なく連帯する性根が気に入らない。
 もしも既に禊は終えたとでも考えているのであれば、余りにも浅はかとしかいえない。
 ともあれ、ナチュラリープラスには、海外事業にて日本の恥になるような愚行だけは、厳に慎んでいただきたものだ。

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