(敬天新聞11月号)
今年、六月二十二日厚生労働省(医薬食品局監視指導・麻薬対策課)は「平成二十三年度・無承認無許可医薬品等買上調査」の結果を公表した。実際に三五三製品を購入し、成分を分析したところ六十四製品から医薬品成分が検出され、内六十二製品は中枢神経に幻覚作用を有する可能性が高く保険衛生上危害が発生する恐れのある指定薬物を含有していたという。
近年、健康とは名ばかりの粗悪な健康食品(サプリメント)や違法ドラック(脱法・合法ドラッグ)が巷に溢れ、健康被害は基より人命に係るトラブルが発生していることから、監視の目を強めている。厚労省は六月に次ぎ八月三十一日には、医薬品成分シルデナフィル及び類似成分が検出された商品名(健康食品・サプリメント)を一挙公表した(詳細は厚労省HPで)。シルデナフィルは勃起不全 (ED)治療薬として承認されている医薬品(販売名・バイアグラ)だ。
違法ドラックと悪質な健康食品(サプリメント)が同一に監視されている中で、押尾学が不倫相手を死に追いやった事件や、酒井法子が渋谷で職務質問をされた際に「下半身の薬なので恥ずかしくて出せない」と言って手荷物の提出を拒否して立ち去ったという逸話があるように「薬と下半身」の関係は深く、快楽を求めるドラックに対し、健康食品(サプリメント)では、男根の勃起力を促すものやサイズを増大させる効果効能を謳う商品が非常に多いことが厚労省の発表から分かった。
健康食品とは一般に「健康に良い」といわれている食品のことであり、法的に「食品」か「薬」のどちらかに分ければ、一般的な「食品」の範疇であり、効果効能を謳うことは薬事法で禁じられている。サプリメントも健康食品の一つに過ぎず、錠剤やカプセルであるその形状ゆえに薬と混同されがちだが、効果効能が謳えない一般食品に過ぎないのである。消費者は効果効能をイメージさせる「個人の体験談」「利用者の声」、似非学者の出すバイブル本といった誇大広告に騙されてはいけない。
このような厚生労働省の監視の中、当紙に週刊誌等で時々目にする男根の増強増大の効果効能を謳う業者に纏わる投書が寄せられてきた。
勃起不全だったらバイアグラという正規の薬が病院へ行けば手に入る昨今、気にも留めない広告であったが、投書を機に身近な雑誌を調べてみると、開運商法インチキ数珠販売と同様に「これで人生が激変しました!」という怪しい体験談と、白衣を着た医師を連想させる「先生」の写真付コメントを載せた広告が随分多いことが分かった。しかも「飲むだけで」勃起を促すばかりか「増大!」を謳うものが非常に多い。それだけニーズがあるということなのか?
まず外見だろ!と誰もが思う詐欺広告
それにしても、何らかの成分により勃起不全への効果があったとしても、勃起時の長さが八〜九センチも長くなるというのは無理だろう。一九九六年九月「泌尿器科学会報」に発表された研究では、陰茎の弛緩時の平均の長さを八、八センチ、平均の勃起時の長さを十二、九センチとしている。
女性が手術をしてまで胸を大きくすることまでは理解できるが、ちんこのサイズを増大したいという願望は如何なものなのか?小さいよりは大きいほうが良いのだろうが、AV大国といわれる日本が生んだ男の妄想かも。そんな殿方の願望に付け入る詐欺まがいの誇大広告も問題だが、特に問題なのは医薬品でもない商品への違法な薬物の混入だろう。
嘗て摘発された業者には、商品のカプセル部分に勃起不全に有効な薬物を含有させ、内部には当たり障りの無いものを入れ、検査を免れる工夫を凝らしていたものがあった。
それでも勃起に効果が現れたとしても、飲むだけでサイズがアップするというのは無理がある。飲むだけで身長がアップする毛が生えるという大昔の誇大広告と同じではないか?
無承認無許可医薬品は、日本の薬事法に基づく品質・有効性・安全性の確認がなされておらず、検出された医薬品成分の含有量は、必ずしも均一でなく、いちどに摂取すると健康被害を生じるおそれがある量が含まれている場合があるばかりか、まがい物であるが故に不衛生な場所や方法で製造されたものである恐れがあり、有害な不純物等が含まれている可能性がある。 投書が示す数多ある業者を今後、厚生労働省や消費者庁、日本広告機構(JARO)のご指導の下、検証していくことにしよう。
因みに勃起不全やサイズアップで悩む読者は、怪しいサプリやドラッグに手を伸ばす前に、最近、全国勝手連連合会(光永勇会長)の催しで姿を見かける、その道のプロカウンセラー青山愛先生(北朝鮮訪朝時に高官の股間を握るという仰天外交で話題)に相談してみたらどう?