詐欺容疑で再逮捕された綾部登の影に潜む一之瀬健治の現状に迫る

敬天新聞7月号

十億五千万円を掠めた綾部登

 当紙の糾弾対象であった詐欺師が逮捕された。五月三十一日、金融商品取引法違反容疑で、千葉県警生活経済課によって逮捕されたのは、投資会社「GIDソリューションズ」の会長、綾部登だ。

 逮捕の報道を受け、当紙では「今回の容疑は捜査の入口に過ぎない。必ず詐欺容疑での再逮捕がある」と断言していたが、結果その通り、六月二十一日に千人を超える者から約十億五千万円を騙し取ったとする詐欺容疑で、綾部登ら六人が再逮捕、新たに社員三人が逮捕された。その手口は、上場予定だとする十数社の企業の未公開株や社債を、高齢者を中心に必ず儲かるなどど勧誘し金を騙し取る典型的な投資・出資詐欺の類だ。

 さて、別件からの逮捕から本筋での再逮捕、警察からの被害状況の発表と、一般的に報じられていることは織り込み済みでしかない。当紙が以前より着目していたのは、綾部登が標的とした被害者らの素性である。

 当紙では、昨年の夏頃から綾部登が闇雲に銭を掻き集めている実態を報じてきた。

最後のシノギとなった未株販売

 未公開株を捌かせれば、業界でも一流の才覚を持つとされた綾部登が、あから様な詐欺ともいえる素人並の杜撰な営業を展開していたことで、一発逆転となる最後のシノギを仕掛けていると踏んでいた。

 元本保証や上場確定、事業実態の粉飾といった何れも法令違反となる文言を並べたからこそ、逆に短期間に被害が拡大したともいえる。そして、最後のシノギの最大のポイントが「損を取り戻します」として、既に別個の投資事案で被害を受けた者らを営業のターゲットにしたことにある。

 ただし、これらの手法も被害者をカモと捉え次次詐欺を仕掛けるといった、けして目新しいものではない。

 結局、これまでは詐欺に為らぬよう慎重且つ巧妙に事を進めてきた綾部登だが、追い詰められた末に原点回帰して、単純にして速効的に結果が得られる詐欺を働いたと推測される。

 業界の手練れといわれてきた綾部登ならば、逮捕を半ば覚悟して詐欺に臨んでいたかもしれない。現在、六十二歳であることから、詐欺罪で刑に服せば社会復帰は困難となる。だとすれば、今回得た犯罪収益は身内らの元に運ばれている筈だ。

 若しくは、怖い筋に金を詰めるが為に、逮捕覚悟で犯罪に及んだのであろうか、何であれ、卑劣な詐欺師の心情など何一つ汲み上げる必要などない。

 捜査にあたっている千葉県警には、犯罪収益の行方を漏らすことなく突き止め、その全てを没収して貰いたいものだ。

一之瀬健治を狙い撃ちした詐欺

 さて、綾部登の最後のシノギとなった被害救済系の詐欺に引っ掛かった被害者だが、その多くが「カラーコードテクノロジーズ」(東京)の株主らであった。同社の代表である一之瀬健治と綾部登は、事業者と大株主の関係にあった。

 事業開始当初は、良好な関係にあったと思われるが、所詮は策士同士が表向き迎合していたに過ぎず、当紙が本格的に糾弾に乗り出した頃には、経営権を廻って醜くも争うまで不仲となっていた。同社は、その当時の社名を「GMG」と称しており、ドイツに本社を置く外資系企業の体を装い、日本の株式市場に近々にも新規上場すると触れ込み、せっせと自社株を売り捌いていたが、当然のこと上場は何度も先送りとなったことは言うまでもない。

 その後も、新たに海外株式市場への上場を持ち出すなどし、引き際を見失った一般株主に対し割当増資や社債を次々と売り付け、一時凌ぎの資金を得ていた。同社の大株主である綾部登にしてみれば、本来ならば主導的に絡みたいものの、一之瀬健治と敵対関係となった状態では、一般株主が言うなりに金を吐き出す「美味しい状況」を、傍から指を咥えて見ている他なかった。

 それでも引き下がれない綾部登は、一之瀬健治以下経営陣の退陣と自陣の役員就任を求め、臨時株主総会を招集するなどしたが、準備不足に加え一般株主に煙たがれたこともあり不発に終わるなどした。

カラーコード社株主は平和ボケ

 思い起こせば、筆者が同社株式を入手し、定時株主総会に出席した折、総会開始から同社事業の不備やら問題点を立て続けに発言したが、乗っかってくる発言者は殆どいなかった。

 そればかりか、総会終了後に声をかけて来た、お年よりグループの代表と思しき御夫人が「余計な発言をして惑わさないで下さい。貴方のような方がいるから上場が遅れるのです」と、予想外のお叱りを受けた記憶がある。

 通常、未公開株販売の会社は、詐欺の立証を防ぐ為に細々と組織を維持するか、事業不振等を理由に早々に破産するものだ。同社のように、問題発生後も堂々と事業継続を謳うのは異例のことである。

 多分、高齢者が多い個人株主同士が意見交換を繰り返すなか、同じ悩みを語り合うサークルの様な形態に進化し、何時しか株主の協力で上場させようと、意志統一が為されたのかもしれない。

 斯様な状況を狙って作り上げたとは思えないが、お年寄りを中心とした一般株主の想いを、一之瀬健治が最大限に利用し泥沼の底へと引き込んでいることは間違いなさそうだ。

 一方、同社の呪縛から抜け出した株主に対しては、綾部登が罠を仕掛けていたことになる。

「カラーコードテクノロジーズの上場は不可能です。私が株主様に用意した会社は確実に上場します。皆さんで損を取り戻しましょう」と、今回の逮捕容疑となった詐欺を仕掛けるに至った。

 自らの欲深さから袂を分けた綾部登と一之瀬健治であるが、結局は共同して売り捌いた株券という名の紙屑を所有する被害者を、それぞれが住み分けて食い物にしたということだ。

総会を控える一之瀬の正念場

 現時点で、綾部登は逮捕され一之瀬健治はシャバにいる。とはいえ、一之瀬健治も正念場であることは間違いない。この原稿の入稿後となる六月二十九日、カラーコードテクノロジーズの第七回定時株主総会が都内で開催される予定だ。

 その場で一之瀬健治が何を語るのか。問題株主が逮捕されたことで、上場の弊害が取り除かれ、上場準備が加速されるとでもいうのか。ついでに更なる出資要請を株主に求めるかもしれない。逆に、大株主が逮捕されたことで上場計画が遅れる、または白紙になったと、綾部登の逮捕を口実に延命を図るのか。

 何れにせよ、株主には何ら利益を齎す話しにはならないであろう。何にせよ、警察が介入した以上は綾部登には然程の興味もないが、出来れば摘発の網を広げ一網打尽に捕縛して貰いたいものだ。

 因みに、当紙では次なる悪党の糾弾準備を整えている。最近の傾向として、単純な儲け話が一番釣りやすいと、古典犯罪の代表格であるネズミ講の立ち上げが目立っている。

 既に、詐欺師のメッカ東池袋周辺で胡散臭い業者を見つけ出し、先ずは挨拶を済ました段階だ。心当たりのある悪党は覚悟しておくように。


(自社箔付けに必死な一之瀬健治、ナイジェリアとの合弁会社調印式にて)

敬天ブログ | 敬天新聞社ホームページ | 敬天千里眼