宗教依存や弟子への暴力疑惑を乗り越え貴乃花部屋に新十両誕生!

敬天新聞6月号

苦節八年にして初の新十両誕生

 父にして師匠でもあった元二子山親方(元大関貴ノ花)から部屋を継いで八年、貴乃花部屋から漸く一人目となる関取が誕生した。新十両昇進を果たしたのは、モンゴル出身の貴ノ岩である。

 貴乃花親方にとっては、昇進を果たした本人よりも様々な理由で安堵したに違いない。関取を育ててこそ、師匠としての育成手腕が認められることもさること、相撲協会や支援者からの収入増加が見込め部屋が金銭的に潤うことが、何より嬉しい筈だからだ。

 角界一の人気親方とはいえ、その台所事情は非常に厳しいようだ。相撲部屋を経済的に支えるタニマチと称する後援会の在り方に待ったをかけた貴乃花親方は、サポーター制度なる集金システムを独自に導入し、広く浅く銭を集めている。勿論、他の相撲部屋には真似の出来ない、貴乃花人気にあやかっての集金システムである。

人気に胡座をかく集金システム

 しかし、目論みは完全に裏目となった。相撲人気が低迷していくなか、貴乃花親方も父の死後に遺産相続で骨肉の争いで世間を賑わすなどし、従来の後援会はもとより頼みの綱であった一般のファンさえも遠ざかってしまったのだ。

 結果、兄の相続放棄を引き出し父の財産を独り占めした貴乃花親方であったが、長引く低迷と資金難から中野区にある相撲部屋の所有権までもが第三者の手に渡るまでに落ちぶれたのである。こういった窮状から、弟子の育成は二の次にし女子アナ出身の女将とサイドビジネスに精を出し、何とか凌いできたのが現状だった。

 貴ノ岩が昇進できたのは、貴乃花親方の指導の賜物ではない。寧ろ、才能溢れるモンゴル出身の青年が、昇進に約三年半も費やしたことが、育成力の欠如の証左だという相撲関係者の声が多い。ともあれ、師匠としての面目を得ることが出来た貴乃花親方であった。

庚申会に名実とも君臨する辻本

 更に弟子の昇進と同時期、その貴乃花親方が歓喜した出来事が他にもあった。自身が心酔する新興宗教法人「庚申会龍神総宮社」(京都府宇治市)の辻本公俊祭主代行が、先代の亡き祭主先生の地位を継承したことである。

 四月二十六日に京都のホテルで盛大に催された、先代の生誕祭と辻本公俊の祭主先生継承の式典には、貴乃花親方も御祝に駆けつけた模様だ。辻本公俊といえば、今年が人類終焉の年だと煽るオチャメな田舎宗教家である。又、最近では「祈りを捧げれば放射能は無害化できる」などのイカレタ発言で、信者の心を鷲掴みにしている新進気鋭の御仁だ。

放射能を無害化する龍神の置物

 尤も、ただ単純に祈りを捧げても効果はなく、庚申会龍神総宮社特製の「無限瑞光天尊下開展金龍」なる置物を購入し、日々祈りを捧げることが必要だという。

 この無限ナンチャラとかいう置物には、小・中・大・回転の四種類があり、値段も一万五千円から十万円という、信者の懐具合に合わせて各種用意されている。つまり、放射能を無害化できる範囲も料金によって格差があるということなのか。地獄の沙汰も金次第とは、正に古からの教えの通りである。

 何れにせよ、自ら今年が人類終焉だと煽る辻本公俊であるが、名実とも組織のトップを継承し、せっせと銭儲けに邁進する姿は、傍から見れば滑稽でしかない。分別ある者なら当然のこと、多少心が病んでいる者でも、辻本公俊の荒唐無稽な言葉に耳を貸す者など皆無だと思うのだが、宗教の名が付くと途端に思考停止に陥る依存型の人間が多いのも事実で、そこに宗教ビジネスが蔓延る要因があるのだろう。

 そういえば、脱原発タレントといった新ジャンルを確立した俳優の山本太郎が、辻本公俊のもとに足繁く通っているらしく、庚申会ホームページにも、その模様が記載されている。放射能無害化と脱原発のコラボを結成するらしいが、ただ単に胡散臭さが増すだけともいえる。

 ともあれ、辻本公俊と貴乃花親方にとっては、人類終焉を迎える今年が近年で一番、喜ばしい年になる模様だ。さて、二期目となる相撲協会理事にも就任し併せて弟子も新十両昇進、何より心酔する辻本公俊の祭主先生継承と、ついでに姉さん女房のタレント活動とサイドビジネスも好調だということで、貴乃花親方にとっては良いこと尽くめの春到来といいたいところだが、現実は甘くない。

貴王良引退の原因は親方の暴力

 貴乃花部屋から初の新十両誕生の陰で、ひっそりと引退した貴乃花部屋の若手力士がいた。現役当時の四股名を貴王良という若者は、僅か二年の土俵人生に幕を下ろしたのである。引退直前の本場所では、入門以来初の勝ち越しを決め、今後の活躍も期待されていた若者であった。

 突然の引退であったにも関らず、その理由が本人からも部屋からも何一つ説明がなかった事から、貴乃花部屋の力士を応援するサポーターからも心配の声が挙がっていた。後日、貴王良の引退理由が思わぬ形で判明する。

「親方からの度重なる理不尽な暴力に絶えかねて、部屋を脱走した」と、週刊新潮が報じたのである。新たな暴力事件が貴乃花部屋で発覚かと、本来ならば大騒ぎになるところだが、相撲協会は貴乃花親方から事情を聴き、暴行の事実を否定したということで、これ以上の介入は協会としてしないと、何とも消極的な対応で終わった。

 稽古と称した暴行リンチで死亡者まで出し、その後も現役横綱の暴行事件や野球賭博、極め付けは本場所中止に発展した八百長事件と、数々の不祥事を起こした相撲協会は、協会内の危機管理委員会の権限を強めることで、同種の不祥事には徹底的に究明にあたることを宣言していた筈だ。為らば、貴乃花親方の暴行記事を報じた週刊新潮にも聞き取りをすべきであり、少なくとも貴王良のもとに出向いてでも、事情を聴くべきである。

 所謂、加害者である貴乃花親方が否定したということで、後は介入しないということであれば、閉鎖的な体質が何一つ改善されていないと誹りを受けても致し方ないであろう。勿論、貴王良の身勝手で部屋を飛び出して、何らかの腹いせで嘘八百を並べた可能性を否定する訳ではない。

 ただし、貴王良の父親も元力士であり、多少のシゴキや強い師弟関係は十分に承知した上で、我が子を角界に送り出した筈だ。その上で、息子が受けた貴乃花親方の理不尽な暴力の実態を週刊誌相手に吐露したというなら、全くの出鱈目と片付けるのは、余にも稚拙な判断である。実際、部屋から逃げ出した貴王良のもとに「イジメや暴力を受けた事実はない。部屋には迷惑をかけない」といった趣旨の誓約書を送り付け、本人に署名捺印をして返送するよう、貴乃花部屋は求めていた。

 つまりは、貴乃花親方の弟子への暴行疑惑が報じられる以前に、口封じとも取れる先手を打っていたことからも、暴行事実の信憑性は高いものであったのだ。結局、暴行疑惑は有耶無耶のうちに終わってしまう気配だが、貴乃花部屋には燻っている問題が他にもある。

双子力士が出所祝に懸け付ける

 以前に、歌舞伎役者の海老蔵への傷害事件で一躍時の人となった、元関東連合の石元太一を叔父にもつ双子力士の存在だ。この双子力士は、海老蔵への傷害事件で服役していた伊藤リオン元受刑者の(仮)出所祝の席に、ちょんまげ姿で堂々と参加していたのである。

 叔父である石元太一の大事な友達が晴れて出所したのだからと、貴乃花親方が喜んで双子力士の参加を認めたとは考え難い。為らば事後報告で知ったのかもしれないが、是といった御咎めもなかった様子だ。

 暴排条例の括りからすれば、当局が関東連合関係者を周辺者として捉えていることは間違いない。その様な連中が屯する場に、同席したことを親戚付き合いで片付けていいものか、甚だ疑問である。

 新十両誕生で浮かれていると、足元をすくわれますよ親方!

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