社主の独り言(苦口)

(敬天新聞5月号)

▼東北大震災からもう一年が過ぎた。だが一向に復興の兆しが見えない。政府がリーダーシップを見せないからだ。一番いい例は瓦礫処理だ。自分達の責任になるようなものには全て「想定外」と言って逃げ、被災県が自ら行動しようとすると「国の管轄」と言って行動を制限しようとする。

 利権が絡むからなのか、面子を保とうとするのか分らぬが、被災者の立場を考えた行動や判断が出来ないものなのか。沖縄の基地問題はアメリカとのバランスがあるから判断の難しさはあるが、大震災の後片付け問題は国内問題であるから総理の見識とリーダーシップでどうにでもなる問題である。瓦礫だって手を挙げる自治体を待たなくても、地元県の判断に任せればいい。燃やすなり埋めるなり、幾らでも処理できるだろう。

 緊急事態発生、非常事態発生、有事発生と言いながら、何故、事後処理になったら通常の手続きを取ろうとするのか。また国民の中にも「絆」とか「被災者の為に何かしたい」と言いながら、いざ瓦礫を受け入れと言う話になると何故反対するのか。日本国民として恥かしい。福島の原発事故の近くの瓦礫なら反対も理解できるが、今問題になっている瓦礫には全く放射線は関係ない。

 しかし九州や四国の県が瓦礫受け入れを引き受けたとしても輸送コストがバカにならない。こういう無駄遣いを省く意味でも地元行政の判断に任せ、国はサポートに回ればいいんだよ。地元の人に義援金をあげるだけで何もさせないより、元気な人は表に出て後片付けをして貰う、その行為に日当を出せばいい。スーパーゼネコンを入れて、二次、三次にピンハネをさせるより、地元の人に直接仕事をして貰って、少し多めに金を払う。当分仕事もあるだろうし、精神的にも健康によい。

 今、全国から震災バブルに労働者が押しかけてるそうだが、最優先されるべきは真の地元民であるべきだ。足りない労力を県外から受け入れ、足りない技術を大手ゼネコンに頼むべきである。最初からスーパーゼネコンありき、政治家の利権ありきに拘るべきではない。もっと真剣に復旧、復興に臨め。アンポンタンのとんまな民主党め。

▼何でこうも政治家の質は低いのか。田中防衛大臣なんて、あんな男をよく投票するもんだなー。県民も恥かしくないのかね。恐らく田中角栄の地元票を娘眞紀子が引き継ぎ、その後援会票を勿体無いから参議院で使い回しているのだろう。組織さえ作ってしまえば祭り上げる御輿は軽い(バカ)程、使い易いのであろう。それにしても、田中直紀という男はよく防衛大臣という役職を引き受けたものである。せめてもう少し目立たない役を引き受ければいいのに。田中角栄ともあろう者が何でこうもボーッとした男を娘の婿に選んだんだのだろう、と不思議がる人は多いと思う。だがもし私が親だったとしても同じ判断をしたことだろう。

 田中角栄は金も残し、名も残した不世中の大出世人物。娘は名うてのジャジャ馬。これを飼い慣らせる男など、そういるものではない。下手に権力欲、出世欲の強い男と一緒にすると苦労して稼いだ財産まで使い果たしてしまう可能性もある。中途半端に優秀な男より、娘の言いなりになって尽くしてくれる優しく誠意のあるマスオさんの方がいい。金はあるからもう稼がなくていい。仕事もしなくていい。世間からどう評価されようが私にとっては可愛い娘。この娘を我が亡き後もずっと優しく面倒見てくれる男が欲しいと男親は思うものである。そういう意味では田中防衛大臣は家庭的で優しい、田中角栄の目に適った最高の男であったろう。勿論その時の田中角栄の目は大物実力政治家宰相の目ではなく、成金の父親の目だったのだ。

 田中直紀防衛大臣は本来政治家になるべき者ではなかった。資格は兎も角、資質は最初から無かったのだ。恐らく派閥の領袖であった田中角栄の都合で粗製乱造の中の一員に組み入れられ、親娘コンベアに乗って今日まで来たのだろう。その他一同なら最後までその他一同で行くべきで大臣になるべきではなかった。あれだけ恥をかいて、恥かしいという自覚はないのだろうか。本人は辞めたくて仕方がないけど、鬼嫁がなにがなんでも辞めるな、と語気を強めて怒るのだろうか。

 責任を取らない、物が言えない、避けて通る、理解ができない、日本の政治にはイラン政治家が溢れているのだ。これは政治が就職という感覚で捉えられ、利権として受け継がれているからバカ息子でも親として継がせたい。折角築き上げた地盤を他人に譲りたくない、という心理は地盤は売れると考えている証拠である。あー、日本人として恥かしい。

▼中央政治の何もしない昼行灯、ボケーッとした頭脳の政治家に比べて、地方政治はやり過ぎ、職権乱用、情報先取り、癒着が横行している。長崎県を例に取れば、谷川弥一という三流にも手が届かない様な国会議員がいる。前回の民主党人気で選挙で負けたのだが、比例というマジックで当選した男である。この選挙区に限って言えば、民主党の福田衣里子議員の方が清貧である。清貧であることと県民の役に立つこと国家の役に立つことと比例はしないが、県に対して悪さをしないだけ目立たないが役に立っていると言える。

 一方、谷川弥一は地元の土方出身で県議五期も勤めてから国会へ上ってきた男であるが、品がないことこの上ない。やること為すこと汚過ぎて県会議員時代、暴力団に闇討ちされた。しかし裏でこっそり手打ちし毎月顧問料を払い続けた。

 谷川弥一は政治生活と自分の会社の土建業との成長が正比例している。県や市や町が発注する仕事を独占してきたのである。国会議員としては三流にも手の届かない存在故、全国的には知名度は低いが長崎県の中では小沢一郎並の知名度と実力なのだ。地場土建業では二〇〇億円の売り上げでナンバーワンだそうである。

 その谷川が国会議員の恥という事件を起して、今裁かれようとしている。全国的にも有名になった諫早湾の一部を閉鎖して干拓地にしたのだが、なんとそのうちの1/3に当る面積(約十万坪)を抜け抜けと自分の息子の会社に県庁の部下と組んで払い下げしていたことがバレたのである。

 息子は勿論、土建屋の社長だから農業などやったことはない。本来全くの無資格だったのだ。それを捻じ込んだのである。その当時、谷川は農林水産大臣政務官だった。自分の立場を最大限悪用したのだろう。谷川弥一の息子の嫁は、当時、長崎県知事で現参議院議員の金子原二郎の娘である。勿論、県知事の娘が百姓の経験などある筈がない。長崎県の二大権力者が合体した結果の傲慢事件と言っていいだろう。

 今、この件が県議会の百条委員会で問われている。この話の取材をフライデーから受けた議員を二人は恫喝訴訟している。だがフライデー記事は事実である。長崎県民は皆知っている。

 というのは、この話は二年も前から地元インターネット情報誌JCネット(旧名日刊セイケイ)が詳しく報道を続けていたからだ。遅まきながらやっと勇気ある議員が立ち上がったということである。これは厳しく罰せられなければいけない事件である。というのは、この地に入植すれば助成金が出るだけでなく、将来払い下げられる可能性もあるのである。その価値は今の相場に換算しても一〇〇億に相当するのだというから驚きである。

 こういう輩が県を支配してきたのである。政治家に対する罰則規定が緩いからに他ならない。政治を商売と勘違いしている輩が余りに多いのである。真面目な政治家は物が言えない。悪党政治屋だけが罷り通るこんな世の中に誰がした。

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