当紙ブログでも報じたが、学校法人北里研究所柴忠義理事長の意向により、被災地である岩手県大船渡市に所在し三陸町の地域住民に溶け込んでいた北里大学海洋生命科学部は、もう大船渡市に戻ることは可能性がなくなりかけているらしい。
現在、海洋生命科学部は、北里大学相模原キャンパスに一時避難し、そこでとりあえず授業等を行っているのであるが、この相模原キャンパスに柴理事長がお気に入りの「鹿島建設」による大規模な新校舎建設の話が持ち上がり、その為、海洋生命科学部ももうここでいいじゃないか、という風な流れになりかけているらしい。
しかし海洋生命科学部の学生さん達は、大船渡市の三陸町校舎のように海岸に隣接し、非常に海洋生物の研究に適した大学キャンパスであることに魅力を覚え入学した筈なので、近隣の相模湾からも相当の距離がある、どちらかと言えば海と縁遠い山奥に「海洋生命科学部」を定着させられることに、不満や疑念を覚えたりはしないのだろうか。
この海洋生命科学部は三陸の方々も、町にある唯一の大学として今後の復興のシンボルになって貰いたいと、今でも秘かに期待し、よもや北里大学が帰ってこないなどということは考えもしない。
岩手県大船渡市に限らず、青森県十和田市や新潟県南魚沼市等も、以前よりずっと北里大学の当地進出を歓迎していた。これら三市が連名で柴理事長宛に地元発注の要望書(↑ 資料1)等を作って、「どうぞ工事の際は地元企業をよしなに…」、と嘆願までしている(↓ 資料2)。
であるから、当紙で報じているように柴理事長や間瀬事務本部長らが、福萬組を始めとした獣医学部御用達業者らの接待ゴルフだかなんだかで十和田市の「十和田国際カントリークラブ」でゴルフに興じていることは、プレゼントや現金が飛び交い、不謹慎といえ、地元行政にとっては願ってもないことで、三市の行政は地元復興に北里大学も一役買ってくれることを期待しているのである。
しかし大船渡市への海洋生命科学部キャンパス復帰の芽は、「鹿島建設(の副社長)」のせいで摘まれてしまった。
大船渡市への復帰がなくなったのは、大学経営もビジネスだから、ソロバンを弾かなきゃならず、仕方がないかも知れない。しかし、聡明な筈の柴理事長・間瀬本部長らの口から出た、現在、被災して行方不明中である女子学生への卑劣な言葉は、学内の真面目な職員や学生さん達と経営陣との溝を生むばかりである。
マスコミではまだ語られていないが、その女子学生さんは普通に避難して一時は助かっていたものを、車で自ら老人ホームまで入居者救助に向かいそこで被災したそうだ。本来なら学校を挙げて、彼女の名誉を称えるべきだろう。
しかし逆に、そのような勇敢な若者を馬鹿にするような言葉、そして「弔慰金」の支払の為には行方不明者のままの方がいい、なんてことを自分の大学の経営陣が言っていると学生さんが知ったら、特に相模原の山奥で海洋学の研究をしなければならなくなった生徒等は、馬鹿らしくてやっていられないだろう。
北里大学経営陣の方々は、このような愚かしい考えを今すぐ改めるべきである。でなければ、数年前に白金キャンパス内の放射性物質トリウムの放射能漏れによるのではないかと疑われる急性白血病死した熊谷泰久課長と同じように、職員や近隣住民の「東京都内での放射能被害」を食い止めることはできない。
現に昨年、研究室から放射性物質である「劣化ウラン」がラベルも貼られず放置されていたのが、見つかった、生命科学研究所生物機能研究室の高橋洋子教授は、体調を崩し一時休養していたのを復帰したものの現在も体調が優れず周囲の心配をうけているようす。
それに対しての対処が、やれ「文科省に届けるのは時期を遅らせた方が」とか、「東京消防庁への届出はどう工作しようか」とか、現場の職員さんまで、なにやら偽装癖が転移してしまったかのようなメールのやり取りをしているのである。
医療研究の雄である名門北里研究所なのだから、後から偽装をして失敗を取り繕うのではなく、失敗のないよう瞬間々々の研究行為を真剣に取り組むべきではないのか。
瞬間、気を抜いて現場を離れ「患者さん」を死亡させてしまった例と言えば、前述の青森県十和田の北里大学獣医学部でもあった。
これは患者さんといっても、人間ではなく「犬」であったが、買主にとっては立派な家族。
当時の「獣医学部付属動物病院」院長による「麻酔事故報告書」によれば、これは正に気を抜いたが為に起った残念な事故であった。
つまりコケたか何かで左足骨折のため、手当てをしにやってきたかわいいパピヨン種のワンちゃんが、手術をする前段階の「麻酔」による失敗のため、あの世行きになってしまったということなのである。
手術をする前に麻酔を打ってパピヨンを寝かせ、ここまではよかったのだが、その後なにを思ったか、手術をする者達がトイレに行ったり、ちりぢりに現場から離れてしまい、数分後には容態がもう悪化してしまっていたそうなのである。
医療者としては、麻酔をかけた後、患者から眼を離して私用を足すなんてことはあり得ないことで、それはペット治療に対しても同様なのだという。これはその後、付属病院や獣医学部が反省して、ワンちゃんの飼い主に七〇万円近くの賠償金を支払って和解した。
しかし、飼い主の方には失礼かもしれないが、(↓ 資料3)のカルテの下部の金額のところを見れば分るのだが、この治療、一万円強の仕事なのである。
気を抜いて現場を離れさえしなければ現金としては一万円強だが、その他に飼い主の感謝と「信頼」を、確実に貰える筈のものだった。しかし気を抜いてしまったせいで、一万円強の手間賃を取りそびれるどころか、報酬の七〇倍近くものペナルティまで支払わなければならなくなった。
これは北里大学獣医学部のある十和田キャンパスでの話だが、本部のある港区白金にはこのペット手術の何十倍も気をつけて取り扱っていかなければならない放射性物質の問題がある。
トリウムや劣化ウランによって、現にそれが原因だか分らぬが死亡したり体調を崩している職員がいる。北里研究所としては気を抜かずにこの状況を善処し打破して行って頂きたい。
福島原発内で働く、東京電力の作業員の方が放射性物質による被害―これは間違いないだろう―によって、体調を崩し、死亡したりしている。この福島原発の東電作業員の死亡報道を見聞きして、今、北里研究所白金キャンパスの職員の皆さんは自分は大丈夫かと戦々恐々なのである。