山甚グループ(福井)がゴルフ場を売り逃げ

(2010年10月 158号)

福井県越前市山甚グループ代表山本博充

 最近、民族派団体の行動制限が厳しさを増してきている。最も顕著なのが当局の街宣活動への無理解である。糾弾対象側が、臆面もなく被害者を装い裁判所に泣き付けば、大概は街宣禁止の仮処分が下される。
 それでも、事前にある審尋の場で糾弾の正当性を訴えることで、仮処分の結果は変わらずとも、ある程度は納得いくものである。本紙も、数え切れない仮処分(相手側の供託金の総額も相当だろう)を受けてきたが、どれ程忙しいとも審尋を欠席したことはなく、自らの主張を訴えてきた。
 しかし、最近では此方側の主張言い分を聞くことなく、いきなり仮処分を発令してくる場合が多くなり、先だっても継続中の街宣案件にて審尋を飛ばされることになった。
 今回、自らの非を棚上げし、街宣対象から逃れようとしているのが、山甚グループ(福井県越前市)の山本博充である。
 山甚グループは、不動産や寝具商社、更にはゴルフ場経営等を手掛ける、北陸有数の企業グループだ。本紙が街宣対象物件とした千代田区神田小川町にある山甚ビルは、山甚グループの東京進出の拠点となっている。
 さて、糾弾の内容についてだが、この山甚ビルに本社を構える、ゴルフ場経営の東海開発株式会社による、不明瞭な所有ゴルフ場の売却経緯を糾すものである。勿論だが、東海開発は山甚グループに属し、代表も山本博充である。

ロイヤルオークカントリークラブの売却

 今から二年前、東海開発は現在も保有する神奈川県の伊勢原CCと大秦野CC以外に、ロイヤルオークカントリー倶楽部(群馬県高崎市)も所有していた。
 同倶楽部については、山甚グループが昭和四十九年に自社開発したコースであり、当初からパートーナーを組んできた地元の群馬銀行と共に運営をしてきた模様だ。当然、同倶楽部の開場初期の正会員には、群馬銀行の頭取以下、幹部行員、その紹介を受けた地元名士が名を連ね、県内ゴルフ場のなかでも、歴史と格を有する名門コースの一つに数えられている。そのゴルフ場が、突如として売却されたのである。
 東海開発の当時の説明によれば、約七十億円の預託金償還問題、来場者の減少に伴う営業収入の落ち込み等を理由とし、売却を決断したという。正会員の権利保全を第一に尊重したという、東海開発及び同倶楽部経営会社の代表でもあった山本博充は、正会員の権利が消滅しないようにと苦慮した上で、最善の方法が経営株の売却であったと、無責任にも経営放棄したくせに、何故か得意気であったという。

民事再生、賠償責任逃れの不正売却疑惑

 経営難を理由に民亊再生法を適用し、事実上の倒産となるゴルフ場は数多ある。そうなれば、預託金制の会員が保有する返還請求権は確実に吹っ飛ぶことになる。同倶楽部の正会員にしてみれば、突然の経営交代とはいえ、五千万円という僅かな金額で経営株を手放す事で、その危険を回避した山本博充の判断を受け入れるのも当然だ。ただし、現在は手放しで喜んでいる正会員が、実は破綻の入口に立たされている現実を、これから知ることになる。
 山本博充には、正会員の権利保全など微塵たりも頭になかったのである。そもそも売却理由は如何にして経営責任から逃れるか。そして、同倶楽部の資産を根こそぎ持ち出すことに、思慮を巡らしていたに過ぎない。山本博充は売却にあたり、買手の株式会社関東管財マネージメントに対し、ある条件を出した。
 それが「直ぐにでも民亊再生をかけて整理したいでしょうが、それでは私(山本博充)の経営責任と、継続した経営を委ねるとした正会員への説明の矛盾を問われかねないので、手続きの開始は最低でも売却後の半年先にしてください」というものだ。
 つまり、経営交代後も、正会員の権利をそのままに継続運営にあたるとした説明は全くの嘘であって、売り手と買手の双方とも、民亊再生を当初から視野に入れての売却だったのである。山本博充の偽善的な経営姿勢を見抜けなかったばかりか、新経営者に運営改善を期待していた正会員が、何とも哀れに思えてならない。
 余にも酷い売却の真実であるが、正会員を犠牲にすることに異議を唱えた者もいた。売却が話し合われていた当時に東海開発の役員であった、群馬銀行元頭取の吉田恭三氏(現群馬銀行相談役)である。
 吉田恭三氏は「古参正会員のなかには、自分が紹介した方が多くいる。その方々を騙し討ちするような売却には断固反対する」と、山本博充と他の役員を前に正論をぶつけたようなのだが、如何せん多勢に無勢で相手にはされなかったようだ。

四億五千万円を裏リベートに用意して…

 しかし、正会員への裏切り行為は、この民亊再生容認の裏取引だけではなかった。売却後の民亊再生による整理終結を条件に、関東管財が山本博充側に四億五千万円を支払うという契約が、別個に結ばれていたのである。民亊再生による整理の有無に関係なく、既に同倶楽部は焼け野原状態になっているに等しい。ただし、同契約が虚偽まみれの内容だったことから、売却の白紙撤回が取り沙汰されるまでに両者の関係が悪化しているという。
 欲の皮が突っ張った銭ゲバ同士、さぞかし派手な喧嘩に発展しそうである。さて、北陸から遠く離れた東京では、胡散臭い仕事振りが目立つ山甚グループであるが、福井県では「観音様の山甚」と呼ぶ地元民がいるらしい。観音様のように優しく高潔な企業という意味ではなく、山甚グループが運営する宗教法人「福聚会」から、からかい半分で呼ばれている模様だ。
 しかし山甚グループの宗教活動への力の入れようは相当なもので、山の中腹に鎮座する芦山観音なる像を本社ビルから祀り崇められるようにと、本社ビル最上階に礼拝堂をつくる気合の入りようである。よそ様が崇める宗教について、とやかく言うつもりはないが、大概の神様は人を騙してはいけないと諭される筈だ。
 山本博充も悪さをする前に、観音様の声に耳を傾けるべきだ。


山甚のシンボル、芦山観音

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