ガリバー企業「東京電力」の腐敗した企業風土を斬る(3)

2010/02/01

 柏崎刈羽原子力発電所6号機は、新潟県中越沖地震の発生後、紆余曲折を経て漸く発電を開始したのが本年1月8日のことだった。それから僅か4日後の12日、原発ならではの、そして、原発周辺の住民等が最も危惧する事故が発生した。

 それが原発作業員の放射性物質による被ばく事故である。事故発生の翌日、被ばくによって放射線を受けた量が微量であった事実(東京電力大本営発表)と、お決まりの安全作業への徹底した取り組みというコメントを、マスコミ各社が報じた。

 更に、これまた常套句である「外部への放射能の影響はありません」という安全宣言が加えられていた。余程の事故ではない限り、日頃から広告出稿等で東京電力にお世話となっているマスコミは、生死に関係ない「瑣末な被ばく事故?」程度なら、過去に散々嘘を連ねてきた東京電力の大本営発表を鵜呑みにし、そのまま報じるのみなのだ。

 当然の如く、原子炉再起動の直後に起こった被ばく事故を、掘り下げて追求するマスコミは皆無であった。最低限、被ばくした作業工程を見直し安全の再検証、そして作業員への教育訓練等を終了するまでは、再度の停止を要求するのが筋だと思うのだが、東京電力には正論さえ吐けないのが現実のようである。

 しかし、本件被ばく事故の当らず障らずの報道によって、新たな事実を図らずも知る事となった。今回、被ばく事故の当事者となった作業員については、単なる作業員という報道もあれば、下請け企業の社員だとする事実のまま報じるところもあった。

 原発という東京電力の中核施設で、しかも被ばくする危険を伴う現場作業、更にいえば、其れ相当の事故が発生すれば周辺地域を巻き込む大惨事となる一線の現場を、下請けに任せていたとは、もはや驚く他ない。東京電力は下請けというとバツが悪いのか、自らの報告では「協力企業作業員」といった、微妙な表現をしている。

 しかし、驚くべき事は他にもある。この被ばく事故当事者の協力企業作業員(単なる下請け社員だが、若しかすると流行の派遣労働者かも・・・)が、19歳の少年であったことだ。原発の作業現場を下請け企業が担い、そこには少年が従事しているという事実に、大いなる不信感や危うさを感じずにはいられない。

 そもそも19歳の少年を危険現場に送り出す下請け業者や、それを容認する東京電力の無神経さには驚きを通り越し呆れるばかりだ。この少年に作業教育を徹底したとは思えず、正に起こるべくして起きた事故といえよう。

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