RCCを手玉に取った佐藤友久。バックはゲーム業界系の財界人

(敬天新聞10月号)

RCCの情実処分で再生した佐藤友久

 捨てる神あれば拾う神あり。RCC(整理回収機構)を欺き、巨額負債を帳消しにした佐藤友久(イースターコーポレーション代表)に、新たな金主が手を差し延べた模様だ。
 本紙がこれまでに佐藤友久と、その一族に関して報じてきた内容は、本紙ウェブサイトを覗いてもらえれば全てが解かる。本件追求については、RCCによる追跡調査が行なわれていることを踏まえ、その内にも法的措置を取るであろうと考え、行動を起すことなく成り行きを見ていた。
 しかし、当時のRCCと佐藤一族の取引状況等を総合的に踏まえると、RCCにも疑義を抱かずを得ない要素もあって、簡単に決着はしないであろうと、少なからず危惧していた。身内のアラを穿りかえし尚且つ罪を問うということは、RCCに限らずどの組織にしても、手を下すことに躊躇するものだ。
 そういった内輪の事情があってのことなのか、いまだ事件化への進展が見られない。ただし、RCCによる担保不動産の任意売却に際し、債務者であった佐藤一族は買主(クラフト建設)らと共謀の上、当該不動産の買戻しと三十億円余りの残債務を一万円で買戻す密約を交わし、財産上不法の利益を得たことは揺るぎない事実である。
 本来、身包み剥がされ破綻するしかなかった佐藤一族は、RCCの処理によって債務の帳消しはもとより、不動産再所有の可能性さえも得たのである。

佐藤一族の復活に尽力した財界の有名人

 当時の本紙は、RCCに対し密約の存在を示し、RCCもまた独自に事実確認をした筈なのだが、やはり内輪の事情からか、確たる証拠を手にしながらも告発には至ってないのが残念でならない。さて、それを横目に佐藤一族は、当初の目的であった不動産の買戻しに成功している。
 当該不動産(港区赤坂三丁目=料亭「千代新」跡地で現パチンコホール)は、平成七年当時に東京相和銀行によって、極度額五十六億円の根抵当権が付けられ、その後の同銀行破綻に伴い平成十三年にRCCへと債権譲渡されたのである。佐藤一族にしてみれば、借金漬けで身動き出来ない状況から、RCC介入で止めを刺されて一巻の終わりの筈が、何故か借金はチャラとなり、十数年を経て不動産も取り戻した訳だ。
 勿論、それには金主となる協力者がいたからこそ実現できたのである。金融機関からは門前払いをされて当然の佐藤一族に、敢えて当該不動産を買い戻す資金を融通したのが、潟Aミューズキャピタル(港区赤坂一丁目十二−三十二)である。その額十五億五千万円である。
 年間利息にしても一億円(年六・五%)を返済せねばならないが、家賃収入が一億八千万円あることから、元金返済分を加えても余裕の返済である。結果的には、佐藤一族は単純な策を講じただけで、借金まみれから資産家へと返り咲いたのだ。
 それも、我が国唯一の政府系サービサーであるRCCを陥れてのことである。放漫経営で破綻した東京相和銀行。そのザル的な経営に乗じて巨額資金を引き出し、返済することなく銭を食い漁った佐藤一族。旧住専及び金融機関の破綻処理といった、極めて重要な責務を担う公的機関のRCCは、職責を果たすどころか全くの役立たず。銭は突然降って湧くものではないのだから、結局は美味しい思いをした者等のツケを、国民が負担したに過ぎないのである。
 しかし、当該不動産をめぐっての不明瞭な経緯など、ほんのさわりを調べるだけでも、手を出すことを躊躇うのが普通だ。当然、その先にある刑事事件化を予測することは、難しいことではない。それでも敢えて資金を供給したアミューズキャピタルとは、どの様な企業なのか。

あのセガの中山隼雄が

 同社の代表取締役会長兼社長は、著名財界人である中山隼雄である。同社の主たる事業は、ゲームソフト開発会社への投資が中心となっている。そもそも、中山隼雄は大手ゲームメーカーのセガ・エンタープライゼス(現セガサミーホールディングス)の社長を務め上げた経歴を持つ、ゲームメーカー業界の重鎮であるのだ。
 それ程の人物が、極めて銭に汚い問題山積の佐藤一族を何故に支援するのか、理解に苦しむ点だ。勿論、佐藤友久とその一族が、アミューズキャピタルの投資先に見合う相手ではないことだけは確かである。佐藤一族の救世主となった中山隼雄は、莫大な資金力を有している模様だが、持っているのは銭だけではない。
 自らの名を冠した、財団法人「中山隼雄科学技術文化財団」の名誉理事長でもあるのだ。あり余る資産に加え公益団体を設立するなど、まさに富と栄誉を重ね持つご立派な御仁なのだ。
 方や、借りた銭はほったらかし、穢れた財産の上に胡座をかき、悪名だけは広く知れ渡っている佐藤一族。本来なら僅かな接点すらないと思われる両者だが、現実は十五億五千万円を貸し借りする蜜月関係であるのだから、摩訶不思議である。
 しかし、両者の接点らしきものが全くない訳ではない。

ナムコの中村氏がゲーム業界の橋渡し役

 佐藤一族は、ゲームメーカー業界とは何故か縁が深いのである。本件とは別に、平成十三年当時、佐藤一族は八十八億円の債務を抱えていたが、その事実上の債権者が、これまた大手ゲームメーカー潟iムコの中村雅哉名誉相談役だったのである。
 RCCが保有していた約四十億円の債権と合わせると、百三十億円近くの債務を抱えていたことになる。ただし、佐藤一族にとって中村雅哉は単なる債権者ではなく、頼もしい協力者だったというのだ。そして、その最大の功績がRCCへの働きかけであり、それによって佐藤一族はRCCの債務を自分等に都合よく処理することに成功したという。
 この疑惑については、中村雅哉本人に質問状(本紙ウェブサイト参照)を送付したのだが、回答はおろか一つの弁明もなかった。斯様に、佐藤一族はどういった繋がりからなのか、中山隼雄や中村雅哉といったゲームメーカーの重鎮等に、物心両面に渡って面倒を見てもらっているのだ。
 中山隼雄と中村雅哉は、各々の企業団体に所属しつつ、主要メーカーが加盟する社団法人「日本アミューズメントマシン工業協会」(里美治セガ会長)の名誉会長(中村雅哉)と顧問(中山隼雄)の職にもあり、老いて今尚、業界に睨みを利かせる立場にある。
 この両名が健在な内は、佐藤一族もまた安泰だということのようだ。

佐藤に肩入れする正当な理由はないはず

 しかしだ。やはり腑に落ちないのが、両名の佐藤一族に対する異常なまでの情のかけ方である。特に、中山隼雄などは今更、曰くつき物件に銭を投げる理由など微塵もない筈だ。
 逆に、利息欲しさと、あわよくば担保物件(推定価値四十億円以上)のぶん取りを目的とした、単純な銭儲けの融資だというなら、アミューズキャピタルが社是とする、新興ゲームソフト産業への積極融資やら、若い経営者の育成といったキレイ事の御託はやめて頂きたいものだ。
 変わりに、銭儲けのためなら融資対象は選ばないとでもして貰いたい。又、本紙が本件を追求していた当時に、実しやかに周辺から漏れ伝わってきた、彼の国を母国とする連中による、不法営利活動が本件の実態であるとの噂は、いまだに根強く囁かれている模様だ。何れにせよ、本件については追跡調査が必要のようだ。

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