(敬天新聞9月号)
今年一月に発覚した、アクサ生命保険を相手にした大規模な生保不正契約。其れから凡そ七ヶ月、本紙は独自の追求を続けてきた。追求の対象としてきたのは、当該事件にて最終的に利得を得た者たちである。
現在、その者たちは生保のスペシャリストとしてコンサル組織を拡大したり、大手会計事務所を構える等、大成功を成し得ている。
しかし、その成功のもととなったのが犯罪収益であり、当該事件の首謀者であった、信和総合リースの林正治社長の突然死(未だ、死亡原因についての噂が絶えない)であることは、紛う方も無き事実である。
死人に口なし、そして火事場泥棒。確実に地獄に落ちる悪行を重ねた連中が、世間から雲隠れすることもなく、堂々とお天道様の下を闊歩しているのが、当該事件後の現状なのである。
本来、いの一番に裁かれるべき林正治社長は、事件について語ることなく死亡し、犯罪の核である信和総合リースは、破算手続きの真っ最中に加え、事件当時の関係者は既に同社には存在しない有様である。
況してや、不正契約を仕掛けられ被害者であるはずのアクサ生命にも、営業成績を伸ばすが為に積極的に関与した者の存在が判明したことに加え、邪な会計士・税理士等が手数料欲しさに主体的に不正契約に加わるなど、単純に加害者と被害者とには分類出来ない程に複雑化している。
更にいえば、実際の契約者である中小企業及び諸団体のなかにも、名義貸しと知りつつ税金対策(損金処理)で不正契約に加担した者、税理士・会計士に勝手に名義を使用された者と、異なる立場の者が混同していることも、事件解明が遅々として進まない要因となっている。とはいえ、保険業主務官庁の金融庁を筆頭にした、捜査当局や国税といった調査・捜査は、確実に進んでいることは間違いない。
今のところ、各々が独自に進めている事もあり、事件解明に繋がる目立った報告は聞こえてはこないが、遠くない将来、必ず全容解明そして犯罪者の検挙へと至るはずである。
事件風化を望む淡い期待を抱き、自身は捜査対象にはならないと、根拠のない自信を持つ事で平善を装っている最終利得者等には、けして逃げ得は許されない。
(一目瞭然とはまさにコレ↑信和総合リースを核に、魑魅魍魎が群がった生保不正事件の組織図である)
さて、紙面の掲載資料は、精力的に生保不正契約を重ねていた当時の、信和総合リースの営業用パンフの一部である。このパンフを誰よりも活用していたのが、同社の顧問に就いていた武林隆である。言うまでもなく、パンフに保険募集業務委託と記されているライナインシュアランス、現在は社名変更した「スリー・エル」の現代表取締役である。
以前にも本紙で報じたが、武林隆は同社顧問であった平成十七〜十八年当時、毎月にして九十万円、時には七百万円以上の報酬を手数料名目で信和総合リースから受けていた。この高額報酬からして、相当な契約数と金額を信和総合リースにもたらしたことが解かるが、その多くが不正契約であったのも事実であろう。
又、保険募集業務委託先のライナインシュアランス(スリー・エル)は、名ばかりの委託先であり、契約実務は全て信和総合リース任せの無面接募集を繰り返し、結果として不正契約の受け皿(付績契約)として存在していたに過ぎなかった。ただし、不正契約とはいえ事業売上は伸び続け、表向きは急成長企業と評価されていたのである。無論、それこそが信和総合リースとライナインシュアランスのオーナーであった林正治社長の狙いだった訳だ。
犯罪を犯してまで保険業界を駆け上がって築いた故人の汚れた財産は、側近で一部始終を見ていた武林隆に、奪われることになる。
さて、掲載資料には武林隆同様に、信和総合リースから散々甘い汁を吸い上げ、最後には根こそぎぶん取っていった、二人目の火事場泥棒の名前がある。外部提携先のエムエムピージー理事長である大山哲である。最早、説明する必要もないが、信和総合リースから林正治を追放し二代目社長に就任した男である。
大山哲の仕事は、今にして考えると非常に鮮やかであった。その仕事は、信和総合リースの顧客に対し、警察捜査の介入をチラ付かせ、当該事件の中では微罪にあたる名義貸しの事実確認を顧客に迫ったことだ。
当然、名義貸しをした顧客の多くは、契約の取扱を大山哲に一任したと思われる。大山哲は、これら契約を債権として他に移動させた後、もう用は無いと言わんばかりに社長から退き、何事もなかった様に自らが代表を務める大山会計へと戻っていったのである。
又、信和総合リースの関係者証言では、林正治名義のライナインシュアランスの発行株を、同氏死亡と破産申請のドサクサに乗じて奪い去ったとの話もある。何にせよ、手際のよさと身の引き方は、当該事件に関与した人物のなかでは秀逸であることは確かだ。
この大山哲、そして武林隆の両名は、これ程まで当該事件に深く関り、更には犯罪収益を持ち去り、又、犯罪現場に用いられた企業を奪い取った事実が明確になった今も、信和総合リースの不正には気付かなかったとか、犯罪に加担したことはない等といった、眠たい言い訳を周辺で繰り返しているようだ。
本紙の追及も長期となりそうな今、今回の掲載資料で解かるように大山哲と武林隆が当該事件のキーマンであることは間違いないとの認識から、改めて事件を見直し、新たな証拠・証言を示しながら追求を継続していく覚悟である。
勿論、追求の終息は大山哲と武林隆の犯罪行為が白日の下に晒され、裁かれる日を迎えるその日迄である。
化粧品ファンケル・池森賢二名誉会長とアクサ生命不正保険契約との関係 (特集ページトップ)